2019 センター試験講評 国語

【総評】 平年より易化

大問構成・出題分野・マーク数などに大きな変化はない。問題文は評論文・古文は読みやすく、全体としても平易な印象を受ける。平均点は昨年よりもかなり上昇すると思われる。

【第1問:評論:「標準~易」】

翻訳における問題点を述べる文章。内容的にはイメージがつかみやすい題材であり、文章構成や論理展開もわかりやすい問題文であった。設問では、問5に五人の生徒の話し合いから「本文の趣旨と異なる発言」を選ばせる問題が出題されたが、それほど途惑うものでもなかったと思われる。筆者の主張をしっかりと追っていければ、難しくはない問題であった。

【第2問:小説:「標準」】

戦争中の内容を扱った小説であり、多少読みづらい部分があったかもしれない。また、設問も問3~問6はやや選択肢が紛らわしく、しっかりと丁寧に本文を追う必要があり、思っていた以上に点数を伸ばせなかった受験もいたと思われる。問題文を読んだ時の全体的な印象だけで解答することなく、問題文に書かれている表現や語句をしっかりと拾い上げ、その上で書かれている部分に基づきながら選択肢を吟味する習慣が必要となる。

【第3問:古文:「易」】

問題文は非常に読みやすい内容であった。また問1・問2の知識問題も平易な問題であったので、日頃の基礎的な学習で差が付いたかもしれない。このような物語系の問題では、初見の長文問題への対処をしっかりと学び、登場人物や場面に注意しながら、しっかりとストーリーを追いかける「読み」(「訳」ではない)を身に付けて行く必要がある。その上で、単語や文法などの知識事項でしっかりと選択肢を吟味して行けば、古文は点数が取りやすい分野ともいえる。

【第4問:漢文:「標準」】

物語ではなく、作者の杜甫が、亡くなった叔母について語る随筆的な内容であったので、多少戸惑いもあり、読みにくいと感じたかもしれない。設問は決して難しいというものではなかったが、問1(イ)「乃」の訳が典型的な訳し方とは少し異なっていたり、また問2・問3が単純な現代語訳問題ではなく、傍線の表現を元に文章の大意を組みこみながら解答を選らばなければならなかったのも、難しかったかもしれない。ただ、全体としてストーリーがしっかりと飲みこめていれば、ある程度は確実に解ける問題もあり、全体としては標準的な難易度と言える。古文同様、ただ「訳す」という作業だけに追われることなく、しっかりとストーリーを追いかけ、自分自身で理解をしながら読み進める姿勢が問われる。

【森山所感】

現代文は例年通りの出題と言える。本文に書いてる語句や表現を元に選択肢を吟味していく方法を身に付けていくことが重要となる。また今年度の評論文は前提となる知識を要さない平易な内容での出題であったが、「言語論」「身体論」「西洋近代」など、ある程度の現代文的背景となる知識は押さえておきたい。
古文・漢文では、単なる知識問題からの脱却を目指そうとしているような印象を受けた。ただの知識問題や解釈問題ではなく、そこに本文の大意や登場人物の心情を織り込み、総体的な読解ができないと正解を得られないような出題が今後も増えるように思われる。ただ「訳す」という学習に追われることなく、だれが登場人物で、なぜそうのようなを行動をし、どのように感じたのか、などをしっかりと考えながら、「わかるという感覚を大事にして読む」という姿勢をもって学習に臨んで欲しい。