2019 センター試験講評 物理

【総評】 平年なみ

全範囲からまんべんなく出題されており、また第3問Aのように、実験の結果を考察する問題の出題や、第2問Aのように、今まであまり出題されていない知識事項の出題があった。その一方で、しっかりと式を立て計算をしていかないと解けない難しめの問題などもあり、出題傾向は多岐にわたった。難易度は、小問によりバラつきがあったが、全体としての平均点は例年なみに落ち着きそうである。

【第1問:小問集合:「易」】

例年の第1問小問集合と比べ、平易で見慣れた問題が多かった。
問1 運動エネルギーと運動量の、言葉による説明を選ぶ問題。
問2 基本的な電場の強さを求める公式がわかれば問題ない。
問3 中学生レベルの知識で十分解ける。
問4 力と圧力のつり合い、および気体の状態方程式から解く基本問題。
問5 単振動の周期の公式から考える基本問題。

【第2問:電磁気分野:「やや難」】

Aのダイオードの出題に戸惑った受験生もいたと思われるが、落ち着いて考えれば、与えられた条件から正解を求めることも可能であった。
Bは2年連続での電磁誘導。問4はしっかりと式を立てて考えていかないと解答にはたどりつかない。
問1 ダイオードについての基本的な知識だが、見慣れない問題であった。
問2 ダイオードに流れる電流が一方向のみだと考えれば正解が出る。
問3 基本公式を使う。
問4 キルヒでしっかりと式を立て、そこから出題意図を踏まえて考える必要があり、難しかった。

【第3問:波動分野:「標準」】

図や実験考察が多く、苦手に感じる受験生もいただろう。ただし、尋ねられている点は基本的な知識なので、落ちついて対処すれば、それほど難しいわけでなかった。
問1 経路差と光路差の違い、あるいは 屈折率の条件で半波長ずれるかどうかを を確かめる知識問題。
問2 実験結果を考察する問題ではあるが、与えられた条件を落ちついて考えれば、実はそれほど難しい問題ではない。
問3 グラフから式を立てる基本問題。
問4 グラフをしっかりと読み、どこが速度が速くなるかを考える。

【第4問:力学分野:「標準」】

特に難しいということはなく、典型的な問題だと言える。
問1 重力と慣性力のつり合いから考える。
問2 問1から見かけの重力という概念がわかれば答えは簡単。
問3 エネルギー保存則から考える。
問4 円運動の基本問題であるが、多少複雑な条件なので、おちついて式を立てて処理していく。

【第5問:熱力学分野:「標準」】

PVグラフの中で、T(温度)がどのように示されるかを考えれば簡単。
問1 熱力学の第1法則から考える。
問2 気体がする仕事の基本問題。
問3 与えられたグラフのなかで、 T(温度)をしっかりとチェックできれば問題ない。

【森山所感】

ただ公式を覚えて、その公式に当てはめて解答を求める、という学習では正解にたどり着けないような問題を出題しようとしていると思われる。なぜその公式になるのか、ある現象の背後にどのような事項があるのか、そのような物理的な思考をしっかりとしたうえで、問題を解くように心がけたい。