森山のセンター国語全問詳解 ~2016(三)古文~

*問一  ア3 イ5 ウ1  各5点
傍線部ア 「念じて」
*「念ず」=「①我慢する ②祈る」
*文脈より「我慢して」で3が正解。
傍線部イ 「いかでかこの迫よりは入らむ」
*「いかで(か)」=「①どうして~か ②どうにか~したい」
*直前に「門閉ぢて開かねぱ、牛飼、牛をば門に結ぴて、扉の迫の人通るべくもなきより入るとて(=門が閉じて開かないので、牛飼は牛を門に結び、扉の隙間で人が通ることもできないほどの隙間から入ると言って)」とある。つまり「入ることができないような隙間」という部分がポイントとなり、5が正解。
傍線部ウ 「いかにと言ふ人あへてなし」
*傍線部より7行後に「しかれば、男、真顕になりぬ。その時に、家の人、姫君の父母より始めて女房ども見れば、いといやしげなる男、病者の傍らに居たり。(=すると、男は姿があらわれた。その時に(ようやく)家の人である、姫君の父母や女房が見ると、たいそう賤しそうな男が、病人のそばにいた。)」とある。つまり、験者が加持祈祷を行なった後で、初めて男の姿が見えるようになったわけであるので、傍線部時点では、家の人たちには男の姿が見えなかったことになる。そこで、傍線部分は、牛飼と男が家の中に入っても、「誰にも気付かれなかった」という意味でなければならない。選択肢の中でこの意味を示すのは1になるので正解は1である。
問二  1  5点
波線部a~eの「の」を、意味・用法によって三つに分けると、どのようになるか。
●主格の格助詞「の」 ⇒ 「~が」と訳す。
●連体格の格助詞「の」 ⇒ 「~の」と訳す。
●同格の格助詞「の」 ⇒ 「~で」と訳す。
*波線部a「鬼どもの我に唾を吐きかけつる」=「鬼どもが私につばを吐きかけた」⇒主格
*波線部b「男の傍らに立ちて」=「男の側に立って」⇒連体格
*波線部c「門のもとに牛飼の童のいと恐ろしげなる、」=「門の元に牛飼の童でたいそう恐ろしそうな童が」⇒同格
*波線部d「扉の迫の人通るべくもなきより入る」=「門の隙間で人が通ることもできない隙間から」⇒同格
*波線部e「男の手を取りて引き入るれば」=「男の手を取って引き入れると」⇒連体格
*よって正解は1になる。
問三  4  7点
傍線部A「悲しきこと限りなし」とあるが、男がそのように感じた理由として最も適当なものを選べ。
*傍線部直前に「近く寄りたれども、傍らに人あれどもありとも思はず(男が近くによっても、そばに人がいるとは思っていない)」「鬼どもの我に唾を吐きかけつるによりて、我が身の隠れにけるにこそありけれ=鬼たちが私に唾を吐きかけたので、私の姿が見えなくなってしまったのだ」と書いてある。
*よって正解は4である。
問四  4  8点
傍線部B「喜びながら夢を頼みて童の供に行く」とあるが、この時の男の行為の説明として最も適当なものを選べ。
*鬼に唾を吐きかけられ、男の姿が見なくなった後のストーリーをしっかりと追うこと。
*まず、男が六角堂に参り籠もって、「観音、我を助け給へよ」と祈る。
*二十七日経った夜、男の夢に僧が出てきて「朝ここより罷り出でむに初めて会へらむ者の言はむことに従ふべし(朝ここから出た時に、初めて会った者が言う言葉に従いなさい)」と言う。
*夜が明け、出ると、大きな牛を引く牛飼に会い、「いざ、かの主、我が供に(さあ、私のお供に付いてきなさい)」と言われる。
*男はこれを聞き、「我が身は顕れにけり(自分の姿があらわれるようになった)」と思ひ、うれしくて思った。
*以上より、正解は4になる。
問五  4  7点
傍線部C「事のあり様を語りければ」とあるが、その内容として適当でないものを選べ。
*牛飼と一緒に大きな家に行き、枕元に座った後のストーリーをしっかりと追うこと。
*まず、修験者がやってきてお経を唱える始めると、牛飼の童は、ただ逃げに逃げて外に去ってしまった。
*修験者が不動の火界の呪を読むと、男の着ていた服に火が付いたので、男が声を上げて叫ぶと姿があらわれるようになった。
*病人の家の者が驚き、男を捕え、「これはどういうことか」と尋ねるので、男は今までの事をありのままに語る。
*修験者は、「この男は、六角堂の観音の利益を受けた者である。許されるものだ。と言って逃がしてくれた。
*以上より、4が適当ではない。
問六  1  8点
この文章の内容に関する説明として最も適当なものを選べ。
*選択肢1「験者は・・・姫君に取り懸いていた牛飼の正体を暴いて」が×。牛飼の童は、ただ逃げに逃げて外に去ってしまっただけで、正体は暴かれていない。また、観音様の御利益のおかげという大きなテーマが見えてこない。
を牛飼から解き放してやった牛飼と一緒に大きな家に行き、枕元に座った後のストーリーをしっかりと追うこと。
*選択肢2「験者は・・・男の気配を察して」が×。本文中に記述がない。
*選択肢3が正解。特に今昔物語の場合は仏教説話であり、「仏様・観音様の御利益のおかげ」という大きなテーマが重要になる。
*選択肢4「六角堂の観音は・・・験者の姿となって現れ、牛飼を追いはらった」が×。本文中に記述がない。
*選択肢5「元の姿に戻すことと引き替えに」が×。本文中に記述がない。
*選択肢6「牛飼は・・・内心では姫君を助けたく思っていた」が×。本文中に記述がない。
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