H27 屋代・諏訪清陵附属中 適性検査 講評

平成27年度 長野県立中学校 適性検査 講評
●適性検査Ⅰ(文系)講評
 問題は大問4つの構成で、昨年と同じです。
 【問1】 (1)は、「じゃんけん」を題材に論理的思考力を見る問題。(2)は「自転車事故」を題材に、対話文やグラフから読み取れることを問う問題。情報処理能力を問うこの形式は必ず出題されると言ってよいでしょう。(1)(2)ともに難易度は標準~やや難しいレベルと思われますが、焦ってしまうと混乱や勘違いを起こし、自ら問題の難易度を上げてしまう恐れがあります。
 【問2】 「給食の献立」を題材にした問題。会話の流れをつかみ、適切な文を選択する問題では、ものごとを順序立てて理解することができるか、適語補充については一般的な国語の読解問題と同様の読みとる力が問われています。ここで出題されているパターンのほとんどは初年度から継続しているので、今後受験予定のある人は必ず対策をしておいた方が良いと思います。難易度としては標準程度でしょう。
 【問3】 【問2】と同様に資料の読み取りをもとに、適語補充や短文を記述する問題。全体的な文章量が少なく難易度もそれほど高くないため、時間の稼ぎどころとなります。去年の「信濃の国」に続き、「カラマツ」を題材にした地元密着型の出題ですが、知識の多寡が得点に影響を及ぼすようなものにはなっていません。
 【問4】 課題作文。本文の内容・出題の意図を読み取り、適切な内容を書くことが重要です。指定された二段落構成については、適性検査では「おなじみのパターン」です。難しいのは、一段落の「共通点の読み取り」と二段落への「つなげ方」です。ここで「ずれ」が生じると二段落が的外れな内容になってしまい評価が得られなくなってしまいます。 昨年と同様の難易度と思わます。
 【来年に向けた対策】 2年目以降出題の形式も固まってきており、今後も大幅な変更はないと予想されます。ただし、倍率自体は依然として5倍近いため、入試そのものの厳しさに変化があるわけではありません。初年度と比較すれば難易度は下がっていますが、逆に「つまらない取りこぼし」が命取りとなるため、適性検査に向けた普段からのトレーニングで経験を積み、「慣れ」ておくことがより重要になるといえるでしょう。
●適性検査Ⅱ(理系)講評
 【総評】 基本的な出題構成は過去3年間と同じで大問4問、全体的な難易度は昨年とほぼ同レベルかやや易しくなった印象です。特徴としては適性検査Ⅱは主に理系(算数・理科)の学力を検査する内容になっており、問題文が長くて思考過程を問う問題が多く出題されます。日常生活に沿ったテーマ問題が出されるのも特徴です。また、他の都道府県の適性検査問題に比べ、解答の自由度は少なく、計算量はやや多めです。特に今年は理科よりも算数を重視した内容が多く、算数の学力が得点に大きく影響したと思われます。一部の設問は解くのに時間がかかるため、全問を制限時間内に解くのはとても厳しいと
言えるでしょう。解答の取捨選択も高得点を取る重要な要素になっています。本年は問4が解くのに時間がかかる設問が多かったと思われます。
 【問1】 小問集合。主に算数の基礎力を見る問題の集まりです。昨年よりやや難しくなった印象です。(1)の図形は記号解答なので易しめ。(2)の速さは少しクセがあります。私立中入試に慣れている生徒には易しいでしょう。(3)は論理的思考問題で、ふだんの学校算数ではまず見ない問題です。これも受験算数や適性検査系問題に慣れていると易しい問題です。
 【問2】 「たこ」を題材にした図形・関数に関する総合問題。二次関数を小学生にもわかりやすく取り上げた問題です。解答過程の穴埋め形式なので、素直に読み進めれば決して難しくありません。後半は比や縮図の利用問題が出題されていますが、こちらも受験では定番の問題です。計算が続きますので途中で間違えてしまうと、思わぬ失点につながりやすい問題と言えます。
 【問3】 リニアモーターカーが目をひきますが、実のところ普通の理科の磁石の問題です。ただし実質的に理科の力を問う設問は(2)の②と③のみで、他は算数の理解度を試す問題になっています。
 【問4】 桜の開花の「600℃の法則」に関する問題。主に平均算の出題が多く、こちらも一見すると理科の問題に見えますが、ほとんど算数の問題といっていいでしょう。ただし計算量が多いため、設問のヒントにあるように、計算そのものを工夫する必要があります。(2)の②のみ理科の対照実験の設問が記述で出ています。
 【来年に向けた対策】 初年度から比較すると、難問奇問は減り、標準レベルの出題が増え、算数に重きを置くような内容になってきています。特に「速さ」「割合」はほぼ必須で、「平均」や「比」など中学受験算数の必須単元も要注意と言えます。従って、まずは学校教科書レベルをしっかりと理解した上で私国立中受験対策の学力を身につけていくことが重要になります。(信大中や日大中と併願した生徒には解きやすい問題が多かった)理科はテーマ出題なので単元を絞るのは難しいです。4年から6年までの各単元をまんべんなく学習しておくことが大事です。ただし私国立中受験のような細かい知識は問わ
れませんので、教科書レベルをしっかり理解しておくことが大事です。