枕草子 第八段 大進生昌が家に

えーと、ちょと困ったなぁ・・・(笑)
何が困ったかというと、今回の屋代高校2年生の古典の試験範囲に枕草子第八段「大進生昌が家に」が含まれているんですね。
実は、この話、なかなか説明に困っちゃうのですよ・・・
まず、中宮定子と清少納言を含む女房たちが、大進生昌の邸宅を訪問します。(これは中宮定子の出産のためでした。)
ところが、生昌の邸宅の門が低いために、女房たちを乗せた車が邸宅の中に入れない、そこでいつものように莚を引いてその上を歩いて邸宅に向かうのですが、前日の雨でぬかるんでいて水たまりにはまっちゃったりします。(ここまで第一段落)
それで、清少納言が、主人である生昌に文句を言うわけです。もちろん、お得意の漢文の知識を踏まえて(ひけらかして)、生昌とやり取りをするわけです。(ここまで第二段落)
はいはい、ここまでは問題ないです。特に、漢文の知識を踏まえてのやり取りは。枕草子の醍醐味であり、受験生には必須の内容でもあります。(と言いつつ、今回この段落は試験範囲になっておりませんが(汗))
じゃ、どこが困ったかというと、第三段落なんです。
清少納言たちは女房は、夜になって、つかれて、部屋で寝てしまうわけです。しかも、掛け金(今で言う部屋の鍵ですね)が、なぜかその部屋にはないのです。
すると、この邸宅の主人である生昌という男、まぁそこそこのおっさん的年齢であるのですが(生没年不詳なのではっきりとはわかりませんが、今でいう40すぎのイメージかな)、この男が、部屋に忍び込んでくるんですな。
そうです。30歳くらいの清少納言の部屋に忍び込んできて、「お側に行ってもいいですかのう?」などと言うわけです。
いやぁ、これはよろしくない事態ですよ。ちょとマズイですね。困ったもんだ・・・
というわけで、ほら、困っちゃうでしょ?
これは、なかなか説明するの困りますよ・・・
中には「生昌はわざわざ夜中に清少納言の所に行って何をするつもりだったんですか?」などと真顔で尋ねる高校生も、時にはいたりして・・・ねぇ・・・
ただ、この枕草子の生昌の話を、あまり現代の常識の中だけで判断してもいけないんですよね。
特にこのような生活的な風習というのは、時代や地域によって枠組みが全く違うわけですから、それを西欧近代的社会の枠組みに照らし合わせて、「夜中に女性の部屋に忍び込むとは犯罪だ!」と言い立てるのは、間違っているのですね。
平安時代おいては、男性が女性の部屋に忍び込むというのは、わりとよくある話なわけですし(まぁ今回はちょっと事情も違いますが)、そもそも「恋愛」ということに対して肯定的でおおらかな時代ではあったのですから、これをもって、「生昌はけしからん!」と現代の価値観を当てはめて批判するのは、(冗談としてはいいのですが)あまり正しくはないということです。
平安時代の作品を読むときには、その平安時代の価値観や常識なども考えながら読みすすめまましょう!
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