サルでもわかる量子論 第2回 ~古典物理学とは何ぞや?~

第2回 ~古典物理学とは何ぞや?~

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さて、前回「宇宙はビッグバンが起こった瞬間に、未来永劫既に決まっている事になり、人間はそれを予測出来ないだけであり、これこそが、19世紀における物理学(古典物理学)なのだ」と述べたのだが、ここで、19世紀までの古典物理学について、詳しく見てみよう。

古典物理学には、次のような3つの根本原理があった。

① 物質は原子と呼ばれる素粒子からできており、すべての運動は運動方程式をもとに、その速度と位置を予測できるものである。

*運動方程式はニュートンの第2法則とも呼ばれ、古典力学において最も重要な公式であり、{F=ma} とあらわすことができる。 ちなみに、これを、t で積分すると、{F\Delta t=mv} となる。このときの {mv} を運動量と呼び、これも重要な公式である。いずれにせよ、19世紀における物理においては、観測データによって得られた物体の現在の速度や位置をこの運動方程式に入力すれば、宇宙の未来はすべてがお見通しだった・・・はずだったのだ。

② 光は電磁波、すなわち波動の一種である。波動は物質そのものが運動するのでなく、物質が伝えるものである。

*波(波動)はそもそも物体(素粒子)ではなく、ある物体が振動することにより生じる現象なのである。例えば波打つプールにピンポン球を浮かべる。ピンポン玉はその場で上下に振動するだけである。すなわち波は水が上下に振動することによって生じる現象なのである。ところで波は高い部分と低い部分ありそれぞれを山・谷と呼ぶ。山から谷になり次の山までの波1個分の長さを {\lambda}(波長) と呼ぶ。また1秒間に波がいくつ通り過ぎるかの数を {f}(周期) と呼ぶ。波には物体(素粒子)とは違い、重ね合わせて強めあったり弱めあったりする(波の干渉)という性質がある。りんごは同時に2つの存在を重ね合わせることはできないが、波は重ね合わせることができ、強めあったり弱めあったりするのだ。それまでの物理界では、光は物体(素粒子)なのか波動であるのか議論があったのだが、まずヤングが1805年に光の干渉の実験によって光の波動性を示し、その後マックスウェルによって光は電磁波の一種であることも確かめられた。これで、光は波動の一種になったはずなのだが・・・

③ エネルギーなどを含めたすべての物理量は連続量である。

*そもそも、連続していないとびとびの量なんて想像できないじゃないか・・・

ところがこのような19世紀の物理界の常識(古典物理学)が20世紀にはいってすぐに次々に打ち壊されることになるとは、この時まだ誰も気づいていなかった。