5分でできる古文テスト対策 「検非違使忠明」

 今は昔、忠明といふ検非違使ありけり。それ若男にてありける時、清水の橋殿にして、京童いさかひをしけり。京童、刀を抜きて、忠明を立てこめて殺さむとしければ、忠明も刀を抜きて、御堂の方ざまに逃ぐるに、御堂の東の端に、京童あまた立ちて向かひければ、その傍にえ逃げずしてのもとの有りけるを取りて、脇に挟みて、前の谷に躍り落つるに、蔀のもとに風しぶかれて谷底に鳥のゐるやうにやうやく落ち入りにければ、そこより逃げて去にけり。 京童は谷を見下ろして、あさましがり、立ち並みて見けれどもすべきやうもなくて、やみにけりとなむ( )。
忠明、京童の刀を抜きて立ち向かひける時、御堂の方に向きて、「観音助けたまへ。」と申しければ、ひとへにこれそのゆゑなりとなむ思ひける。忠明が語りけるを聞き継ぎて、かく語り伝へたるとや( )。

 


 

問一 次の 青色文字 の読みを現代仮名遣いで書け。

   検非違使
   若男
   京童
   御堂
   

 

問二 次の 赤色文字 を現代仮名遣いにし、すべて平仮名で書け。

   いさかひ
向かひ

   ゐるやうに
   やうやく
   助け給へ
   そのゆゑなり