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平成28年度長野県立中学校 適性検査講評
●適性検査Ⅰ

【総評】問題は大問4つの構成で、例年通りです。
毎年、長野県に関することを題材にした問題が1題出題されていますが、今年は【問1】【問2】の2題になりました。決して知識量の多さが得点を左右するようなものではなく、どちらもグラフや資料から分かることを読み取る力、それを整理して的確に示す力を問う構成になっています。
【問1】は「長野県を訪れる外国人観光客」についての出題。計算・資料の読み取りともに難しい問題はありません。また素直な出題が多く、比較的解きやすい問題がそろっている印象です。
【問2】は「登山」に関する問題で、難易度・出題形式ともに【問1】とほぼ同じような構成といえるでしょう。40~50字程度でまとめる問題もありますが、資料をきちんと読み取ればそれほど難しくはありません。
【問3】は「インターネットの利用」を題材とした出題です。生徒が話し合いをしている本文2つと資料からの読み取り・関連付けをもとにして、空欄を補充する問題が大半を占めます。難易度は標準程度という印象です。
【問4】は200字の課題作文を含む国語的要素の強い「おなじみのパターン」の問題です。最後の課題作文は二段落構成でまとめることが必須。第一段落では、本文から読み取れることを指摘する必要があるため、解答の自由度が少なく正確な読解力が要求されます。

今年の問題は、ある程度準備を積んできた受験生にとっては平易な問題が多いと感じられたのではないでしょうか。【問1】~【問3】では得点差が生じにくいように思われます。ですので、今年は【問4】の出来不出来が勝敗を分けるポイントになりそうです。
●適性検査Ⅱ

【総評】基本的な出題構成は過去4年間と同じで大問4問、全体的な難易度は昨年とほぼ同レベルかやや易しくなった印象です。特徴としては適性検査Ⅱは主に理系(算数・理科)の学力を検査する内容になっており、問題文が長くて思考過程を問う問題が多く出題されます。日常生活に沿ったテーマ問題が出されるのも特徴です。また、他の都道府県の適性検査問題に比べ、解答の自由度は少なく、計算量はやや多めです。特に今年は理科よりも算数を重視した内容が多く、算数の学力が得点に大きく影響したと思われます。一部の設問は解くのに時間がかかるため、全問を制限時間内に解くのはとても厳しいと言えるでしょう。解答の取捨選択も高得点を取る重要な要素になっています。本年は問4が解くのに時間がかかる設問が多かったと思われます。

【問題1】小問集合。主に算数の基礎力を見る問題の集まりです。昨年よりやや易しくなった印象です。(1)の速さは問題も理解しやすくやさしめ。(2)の図形は①がミスしやすく②もイメージしにくい生徒には難問です。(3)は割合の有名な問題です。類題に慣れている生徒は得点しやすいでしょう。どれもふだんの学校算数ではまず見ない問題です。受験算数や適性検査系問題に慣れておく必要があります。
【問題2】「ペットボトルロケット」を題材にした実験考察型の総合問題。問題文の条件をすばやく理解し、設問の意図を正確に把握することが要求されます。特に「対照実験」という観点を正しく理解しているかが焦点になっています。(3)の記述問題は比較的表現上の自由度の高い設問です。難易度は昨年と同じかやや易しい印象です。
【問題3】問2同様、発電機を題材にした実験考察型の総合問題です。(1)と(2)は図形の認識能力を問う問題で、条件の見落としが命取りになります。(3)では毎年出題されているグラフ記入型問題が今年も出題されています。実験の条件がやや特殊なため、考えすぎてしまって勘違いする生徒が出てきそうな問題と言えます。難易度は昨年と同程度でしょう。
【問題4】円に関連した図形の応用問題です。本年の最難関問題です。特に(1)の③と(2)の②は正答率が低そうな設問です。傾向としては私国立中入試に近いタイプで、ある程度入試テクニックを学んでおくと対応しやすいと言えます。昨年よりやや難しいでしょう。
【来年に向けた対策】適性検査Ⅱは主に算数と理科に関する出題が出されています。県教委は学校教科書の理解を基本とした思考力や分析力を問う出題であることを強調しています。しかしながら教科書レベルの問題集を解くことはあまり効果がなく、かといって私国立中の受験問題に取り組むのも無駄な学習が多くなります。ふだんから算数や理科の学習テーマについて「なぜそうなるか・どのようなしくみか」といった点に注意して考えたり、あるいは教科書内容をやや超えるレベルまで取り組んだりするのが有効だと思います。

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