信大中受験日変更の影響

益々加熱する中学受験ですが、今年はちょっとした異変が起きそうです。それはこれまで8月末~9月初旬に実施されていた信大附属中の入試日程が変更になったからです。

①昨年度との比較

<昨年度>
信大中受験日:8月30日
信大中合格発表:9月19日
信大中入学締切:12月17日
日大中受験日:9月23日
日大中合格発表:9月30日
日大中入学締切:10月3日
<今年>
日大中受験日:9月26日
日大中合格発表:10月6日
日大中入学締切:10月9日
信大中受験日:10月3日
信大中合格発表:10月23日

②もっとも影響を受ける長野日大中

昨年までは信大中→日大中の順番で受験が実施されていました。併願する生徒は多かったようですが、信大中を第一志望にしている場合は日大中を受ける前に合否がわかったため、受かった場合は日大中受験を回避していたようです。日大中を第一希望とする場合でも、要は日大中の「すべり止め」として信大中を受けているので(信大中の手続き締め切りは12月なので権利を確保できる)問題ありません。

ところが今回の変更では「信大中を第一希望とする生徒が日大中をすべり止めとして受ける」ことが難しくなります。日大中の入学手続きの締切が信大中の合格発表前だからです。この点については少し説明が必要です。

日大中は出願時に「専願」か「併願」かを選ぶシステムです。これは例えば屋代附中などを第一希望にしている生徒が日大中を『すべりどめ』受験した際、日大中を第一希望とする「専願者」と合格点に差を持たせるためです。正確な数値は非公表ですが、恐らく各科目とも100点満点で10点分程度は専願有利でしょう。

昨年までは、信大中を第一志望とする生徒でも、日大中の願書は堂々と「専願」で出願できていました。なぜなら日大中受験日の前に信大中の合否が判明したからです。信大中に合格すればそもそも日大中は受験しません。そして日大中を受ける場合はすなわち日大中が本当に第一志望になっているからです。

今年はそうはいきません。なにしろ信大中の合否判明前に日大中の「入学手続き」があるからです。日大中に専願合格した以上、それを反故にして信大中を選ぶのはルール違反です。

ただし日大中を「併願受験」する場合は問題ありません。これは一定の入学手続きをした上ですが、「併願」合格者の場合は入学手続き終了後に他の中学の合否によって入学を辞退するのは構わないからです。

しかし現実的には先に述べた「併願組の方が合格点が高い」という点を考えると、よほど学力に自信が無ければ併願受験はしにくいでしょう。なぜなら日大中の「併願組」の大半は屋代附属中を第一志望とする生徒だからです。

よって、今後日大中の対応に変化が無ければ、信大中志望者の日大中すべり止め受験は減ると予想されます。日程的に考えると、信大中のすべり止めは清泉中や文化学園中が選択されやすくなるでしょう。

なお、実をいいますと、この件は少々デリケートな問題を含んでいます。上記で「約束反故はルール違反」という表現を使ったのですが、これはある意味日大中側の論理です。一方で専願と併願の合格基準の差を明示していない以上、受験する側の心理として専願を選択したくなるのは当然です。このあたりは実際いろいろなケースがあります。もしこうした点でお悩みのようでしたら信頼できる学習塾等にご相談ください。

③信大中の競争倍率のゆくえ

さて、この日程変更は信大中そのものの人気には影響するでしょうか?・・・これはまだ不透明な部分が多くわかりません。ただし、単純に考えると「受けやすくなった」ことは事実です。試験準備期間に余裕が出たわけですし、他中学入試の日程にも近くなりました。信大中そのものは今春も多数長野高校に合格者を出しており、一定の人気があることに変わりありません。したがって、倍率は高くなると予想しておいた方がいいと思います。

④屋代附中への影響

屋代附中は開設依頼高倍率が続いています。この点についてはやはり中高一貫である点が人気の背景といえるでしょう。当面この人気に変化が出るとは考えにくい状況です。今回の信大中の日程変更は屋代附中との併願がよりしやすくなったと言えますが、そもそもの屋代附中を第一志望とする生徒の数に影響を及ぼすとは考えにくいです。

⑤来年度以降への影響

ご存知のように、今の小学5年生の中学受験から市立長野高校の中高一貫(予定60名)が新規開設されます。一方長野日大は小学校からの連絡入学が始まります。こうした状況は中学受験全体を激化させる方向に動くと予想されます。今回の日程変更で信大中も日大を除く他中学との併願はしやすくなるため、複数受験による受験激化に拍車をかけるでしょう。