考える力(2)時習館塾長 森山剛志
  「Windows95」による家庭用PCの普及でインターネット環境が急激に広まりました。今ではな勝つかしい ISDN から ADSL へ、そして光ケーブルの時代へと進んできました。また携帯型通信機も、ポケベルの時代から携帯電話、そしてタブレットやスマートホンの時代へと変化してきました。

 このような急激な情報化社会の促進により、私たちの生活も大きく変わってきました。今までなら、何か調べたい事がある場合には、まずそれをどうやって知らべたらよいかという調査手段から考えたものです。人に聞くべきなのか、図書館に行くべきなのか、あるいはどこかに電話して尋ねるべきなのか・・・ まずはそこを考えてから、行動に移さなければならなかったのですが、現代においては、ネットで調べればたいていのことはわかってしまいます。そして、今までならわからなかったであろう情報まで、簡単に探せるようになっています。もう、今や私たちは、どうやって調べるかを考える必要はなくなったのであり、わからなかったどうしようと思い悩む必要もないのです。
 また、買い物環境も大きく変化しました。今までなら都会でしか手に入ることができなかった物でも、全国どこに居ながらでも簡単にネット注文できますし、そもそも問い合わせも、お店の人とのコミュニケーションもなく、ただネット環境さえあれば、何でも簡単に手に入る時代です。こちらでも、今や私たちは、どうやってそれを入手するべきかを考える必要はなくなったのであり、入手できなかったらどうしようと思い悩む必要もないのです。

 前回、「なぜ、今の子どもは答え無き問題を考えるのが苦手で、みずから問題点を見つけ解決していくことが苦手なのか?」という問題提起をしましたが、私の考えではその答えはこの社会的変化にあると思います。便利になるということが、私たちの思考力や工夫力を蝕んできているのです。

 この間、ある高校生の生徒が私のところに来て、「この単語は解答に未然形接続だから助動詞の「る」であると説明されているのですが、よくわかりません」と尋ねてきました。そこで私が「接続はわかるの?」と私が尋ねると、「助動詞の接続ってキーワードでネットで調べたのですが、わかりやすく出ていませんでした」という返事が返ってきました。「おいおい、まず助動詞の接続は授業で説明したよね? そして助動詞の接続は文法書の表紙裏の見開きに載っているよね? 以前の授業のノートを見たり、文法書を確認したの?」と聞くと、「ああ、そうか。でもネットでわかるかと思ったんですが・・・ネットには載っていないんですか?」という返事でした。まぁここまで顕著な例は稀ですが、それでも、ノートや問題集を工夫しながら、コツコツ理解していくという作業が苦手な生徒が多いということは間違いありません。与えられた問題はこなすことができても、わからない問題にぶつかった時に、それをどうしたらいいのか、そこが乗り越えられない生徒が多いようです。

 では、このような状態の生徒を、どうやって自習的に考え、どうやって自分で解決する力を育てればいいのでしょうか?

 ・・・ということで、その続きはまたまた次回へ!